アケミ「はい、これ」
ピエロ男「なんだい、これは。あぁ、七夕飾りの短冊か」
アケミ「そう、町内会で七夕の大きな笹を商店街に毎年出しているでしょ。
肉屋さんで買い物したら、この短冊をもらったの。
願い事を書いて出したら大笹に飾りつけてくれるって」
ピエロ男「なんだ、願い事を書けってか。ちょっと待ってろ。ほらよっと、書いたぞ。
さあ、これを出してきてくれ!」
アケミ「どれ、ふむふむ」
ピエロ男「おい、勝手に読むな。恥ずかしいだろが!」
アケミ「なに『有名なマジシャンになる』ってのが、あんたの願い事なわけ?」
ピエロ男「悪いか?お前を幸せにするとか書いたほうが良かったか」
アケミ「それはもう諦めてるからいいけど。でもね、これじゃあ夢は叶わないわよ」
ピエロ男「なんでだよ?」
アケミ「それはね、目的が明確に示されていないからなの」
ピエロ男「目的を明確に?つまり、もっとはっきり書けってことかい?」
アケミ「そう、目的ははっきりすればするほど実現の可能性が高まるのよ」
ピエロ男「ん?ちょっとイメージがつかねえな。くわしく説明してみてくれよ」
アケミ「目的に向かって頑張るってのは、行く先を決めて旅をするようなものよね。
『行く先に到着できた』ということは、すなわち、『目的を達成できた』ってこと」
ピエロ男「そのたとえは、オレにもわかるな」
アケミ「で、その行く先がはっきりしないとどう?目的とする場所にたどりつけるかしら?たとえば、車のナビで行く先を決めるとき、地名だけじゃなく丁目や番地まで入力しているでしょ。
夢を実現するのも同じこと。できるだけ目的を明確に表現した方がいいの。
もし、江戸川区にマンションが欲しいという若いサラリーマンがいたとするわよ。
そしたら、そのサラリーマンは『わたしは7年後に江戸川区小松川に3LDKの新築マンションを購入します』というくらい明確な目標を立てるべきなの。
それくらい明確な目標を立てた方がね、実現する可能性が高まるのよ」
ピエロ男「目的は大事だけどよ。やるべきことを決めたほうがいいんじゃないのか?」
アケミ「目的が明確に決まらないと、やるべきこともはっきりしないわ。
今言った若いサラリーマンの例でも、
『7年後に江戸川区小松川に3LDKの新築マンションを購入する』と明確な目標を立てたら、マンションには相場価格があるから、だいたいいくらぐらいのお金を用意すればいいか調べればわかるわよね。
7年後にそれを実現するには、今の職場でどれくらい仕事をすればいいか、毎月どれくらいのお金を積み立てれば頭金が用意できるかも、はっきりしてくるわよね。
こうやって、目的を明確にすると、自然にやるべきことも決まってくることなのよ」
ピエロ男「わかった。納得。
んじゃあ、オレも『3年後に東京ドームを満員にできるような超有名マジシャンになる』って短冊を書きかえておくか。
ほれ書いたぞぉ」
アケミ「夢が明確化したのね。いいことだわ。
じゃあ、ゴロゴロしてないで起きなさいよ!この怠け者!
3年後に東京ドームを満員にするなら、
必死こいて寝る間も惜しんでマジックの練習しなきゃダメでしょ!」
参考文献:星渉先生「『心が強い人』の人生は思い通り 神メンタル」より